極上パイロットが愛妻にご所望です
「あ、砂羽っ。ちょっと待っててね」

 今日は比呂と空港内のカフェレストランで食事をして、スイーツを食べる約束をしていた。

「ゆっくりでいいからね」

 比呂は大急ぎで着替え始める。

 春コートとバッグを持ってすぐ後ろのベンチに座り、リップだけ直していると、比呂の支度が終わった。

「お待たせ! どこへ行こうか」

 パタンとロッカーを閉め、比呂はクルッと回って私に尋ねる。

「どこでもいいよ。比呂は行きたいところある?」

「んー……、おうどんを食べて、和スイーツの気分かな」

 出入口に歩を進めながら、彼女は店の名前を言う。

「いいわね。そこなら二店とも同じターミナルだから、移動しなくて済むしね」

「じゃあ、決まり!」

 私たちは更衣室を出て、店のある国際線ターミナルへ向かった。

 十分ほどで、旅行客や見送り人があふれ返る、ターミナル四階のうどん店に到着した。

 店の前には五人ほどが並んでいる。これくらいならさほど待たずに入れるだろうと、私たちは最後尾についた。

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