極上パイロットが愛妻にご所望です
お父さんの出張を見送りに来たときのことで、迷子になり、展望デッキにいるところをお兄さんが助けてくれたのだ。
「やっぱりあのときの女の子は砂羽で合っているよな? 泣きそうになりながら自分の名前を名乗る言い方はこの間も同じだったし、自信はあったんだが。で、砂羽も覚えていてくれたんだ?」
「もちろん。優しいお兄さんは私の初恋だったの」
「初恋? その割には俺が近づいてもわかってくれなかったな。俺、あのとき名前を名乗ったんだけど、忘れたか?」
九歳の記憶力より、十四歳の記憶力のほうがいいに決まっている。
「私が記憶していた名前は……『太陽』で……どうして間違えてしまったんだろう……」
朝陽と覚えていれば、すぐにあのときのお兄さんだとわかったのに。
そのとき、朝陽が手を額に置いて声を出して笑い始めた。
「九歳の砂羽は俺が朝陽って名乗ると、一瞬わからない顔をしたんだ。それで太陽が朝に昇る、朝陽だって説明を。そっか。クックッ……」
「あ! だから食堂の前で私の名前に反応してジッと顔を見つめたのね! ゲートでもIDを確認してたし」
思い返せば、朝陽は私がここで出会った女の子か確かめていたんだ。
「やっぱりあのときの女の子は砂羽で合っているよな? 泣きそうになりながら自分の名前を名乗る言い方はこの間も同じだったし、自信はあったんだが。で、砂羽も覚えていてくれたんだ?」
「もちろん。優しいお兄さんは私の初恋だったの」
「初恋? その割には俺が近づいてもわかってくれなかったな。俺、あのとき名前を名乗ったんだけど、忘れたか?」
九歳の記憶力より、十四歳の記憶力のほうがいいに決まっている。
「私が記憶していた名前は……『太陽』で……どうして間違えてしまったんだろう……」
朝陽と覚えていれば、すぐにあのときのお兄さんだとわかったのに。
そのとき、朝陽が手を額に置いて声を出して笑い始めた。
「九歳の砂羽は俺が朝陽って名乗ると、一瞬わからない顔をしたんだ。それで太陽が朝に昇る、朝陽だって説明を。そっか。クックッ……」
「あ! だから食堂の前で私の名前に反応してジッと顔を見つめたのね! ゲートでもIDを確認してたし」
思い返せば、朝陽は私がここで出会った女の子か確かめていたんだ。