極上パイロットが愛妻にご所望です
「そう。CAになりたいって言っていただろう? CAではなかったが、携わるGSになっていた砂羽は、あのときの女の子に間違いないと思った」

「ここで出会ったお兄さんは、いつか飛行機を操縦するって言っていたね。私もきっと操縦桿を握っていると思っていた」

「そう。アメリカへ留学中で、一時帰国して戻るときに砂羽に会ったんだ。俺は忘れないようにスマホにお前の名前を入れた。おかしいよな。いつか会えたらいいと思ったんだ。出国する間際で感傷に浸っていたのかもしれない」

 彼はフッと思い出したような笑みを漏らす。

 見つめ合えば、朝陽の唇が気になって、キスをしたくなる。

「朝陽、気になるって言ったでしょう? それは小学生の私がずっと気になっていたってこと? それとも今の私?」

 ずっとなんてあり得ないけれど、私の名前を憶えていてくれたことがとても嬉しい。そうでなければ朝陽と恋人同士になっていなかった。

「正直に話したら尻に敷かれそうだけど、十七年前に素直で可愛い子だなと思った。食堂の廊下で、ひと目惚れした。砂羽と会って知るたびに愛していったんだ。もう手放せない。砂羽、愛している。みっともなく引き止めてしまうくらいにな」

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