極上パイロットが愛妻にご所望です
 もう私は言葉に出せなかった。朝陽の告白に感動して、涙があふれる。朝陽に抱きつく私だった。

 そんな私の顔を彼は優しく両手で囲み、キスを落としてくれた。それから朝陽は私の耳に口を寄せてささやく。

「帰ろう。思いっきり砂羽を愛したい」

 朝陽は腰を上げ、私に手を差し出して立ち上がらせてくれる。ついでにわざと引っ張りすぎて、勢い余って私が朝陽に抱きついてしまうというやんちゃぶりも発揮する。

「もうっ」

 真っ赤になりながら頬を膨らませて睨みつけると、彼の顔に不敵な笑みが広がった。
 


 制服から私服に着替え、ふたりで駐車場へ向かう。

 朝陽が『制服で展望デッキへ来て』と言ったのは、『もう交際を隠さない』そういった意味があったようだ。

 機長姿の彼は特に目立つし、展望デッキでは知り合いに見られていたかもしれない。私ももう隠したくなかった。

堂々と朝陽と会いたいから。



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