極上パイロットが愛妻にご所望です
 朝陽のマンションへ行く途中、スーパーに寄り食材を買う。今日の偉業を成した大好きな人に食事を作って『お疲れさま』とねぎらいたくて。

 昨晩食べたきりの私は、仕事が終わったときにはお腹が空いて仕方がなかったのに、今は喉を通るかわからないくらいに胸がいっぱいで幸せだった。

聞けば朝陽もコックピットミールだけだという。本社や各所の対応に追われていて食事ができなかったと。

「すぐに作っちゃうね」

 十六時過ぎ、急いで作っても食べ始めるのは十七時になりそう。

 朝陽のリクエストは具だくさんの味噌煮込みうどん。風邪をひいたときに作ったうどんが食べたいと言ってくれた。

 私はキッチンへ行き、買ってきたものを次々と作業台の上に出す。それから隅に畳まれてあったエプロンを身につけていると、ぶらりとやってきた朝陽が私の後ろから腕を回し、抱きつく。

「メシより、砂羽が食べたい」

 耳朶にキスをされ、そっと食まれる。

「だ、だって、お腹空いてるって……」

 朝陽の唇は耳から首筋に移動し、手はスカートからブラウスの裾を引き出して、腹部を撫でる。その手はだんだんと上へ。

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