極上パイロットが愛妻にご所望です

朝陽のサプライズ旅行

 翌日の遅番の休憩時間、私と比呂は食堂にいた。

 出社してからずっと、社内のいろいろな人の視線を感じている。昨日の出来事と私と朝陽のことが、早くも耳に入ってしまっている様子。

 昨日食べられなかったチキン南蛮を選んでトレイを持って席に着くと、オムライスを前にした比呂がさっそく口を開く。

 仕事中も、ずっと彼女は聞きたそうだった。なにを聞きたいのかというと、朝陽のこと。

「砂羽、桜宮機長と付き合っていたの?」

「ん……ね、食べたら展望デッキへ行かない? そこで話すから」

「わかった! 早く食べましょう!」

 比呂はしゃべらずにオムライスをパクパク食べていく。そんな姿をポカンと見つめていると――。

「砂羽、早くっ。時間がなくなっちゃうわよ」

「あ、うん」

 私も比呂の勢いにつられ、慌てて食べ進めた。

 十分もかからずに比呂はオムライスを完食し、私もほぼ食べ終えた。

 トレイを返却口に片付けて、一度更衣室へ戻りメイクを直し、比呂に引っ張られるようにして国際線ターミナルへ歩を進めて、展望デッキに到着した。

 今日の朝陽はオフだったが、本社から昨日の件で呼び出しがかかり、私と一緒にマンションを出た。

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