極上パイロットが愛妻にご所望です
「でも、桜宮機長は砂羽を愛してくれているんでしょう? えっと、六月からだから丸三ヵ月? たったそれだけで、機内アナウンスでのろけちゃうくらいなんだから。はあ~、うらやましいわ」

 まだ三ヵ月なんだ。もっと長い歳月を一緒に過ごしている感覚なんだけど。

 周りにも公表した形になって、別れた場合……。

 考えたら背筋がゾッとする。AANを辞めるしかないよね。

 悲観的な思いが頭をよぎり、ふるふると頭を左右に振った。

「あ、知ってる? 昨日の622便の乗客の多くから、桜宮機長と彼女がどうなったか教えてほしいという問い合わせがあったらしいわよ」

「ええっ? そ、そうなの?」

 比呂はふふっと笑い、私の頬をキュッと引っ張る。

「もうっ、幸せそうな顔しちゃって。SNSアプリにラブラブな写真を載せちゃえば? ハッシュタグAAN、とか入れちゃって」

「そんなこと絶対にしないから。もう時間っ、行こう」

 腕時計を見れば、十分前になっており、私たちは急いで持ち場へ戻った。

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