極上パイロットが愛妻にご所望です
今日は気疲れした日だったなと、着替えてショルダーバッグを手に更衣室を出た。

 そこにまだ制服姿の住田くんが立っていた。

「お疲れさま。まだ着替えていないのね」

 なぜか緊張した面持ちの彼だ。

「水樹さんにお話があって――」

 住田くんは横を通り過ぎる社員たちに言葉を切った。

「私に……? なにか悩みでもあるの? 私でよかったら相談に乗るわ。あ、でも今日はダメなの」

 朝陽が車で待っている約束だった。

「時間は取らせません。実は……僕、水樹さんが好きなんです」

 突然の彼の告白に、目を見開いてキョトンとなる。

「え? い、いったい……」

 私はびっくりしすぎて、二の句が継げない。

「桜宮機長が恋人なのを承知で告白しています! 僕ではダメですか!?」

 住田くんは一気に言葉にして、いつになく熱い瞳で見つめる。

「あの人にはハンナさんがいるじゃないですか」

「い、いるわけじゃなくて……」

 私たちのことはかなりの人に知られてしまっているけれど、多数の人は長続きしないと思っているみたいだった。そんな心ない噂が耳に入っている。

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