極上パイロットが愛妻にご所望です
「水樹さん! お願いします!」

「お願いしますって……ごめんなさい。ダメです」

 うろたえる私はそれしか答えられず、そう口にしてから彼を傷つけてしまったのではないか顔を窺う。

「少しも考えてくれないんですか!?」

 住田くんに詰め寄られて、いきなり手首を掴まれてしまい、びっくりする。

「す、住田くん、離して。あなたとは、いい仕事仲間でいたいの」

「僕は水樹さんの恋人になりたい」

「あいにくだが、それは絶対にあり得ない。彼女は俺のものだから」

 ふいに朝陽の声が降ってきて、住田くんはビクッと肩を跳ねさせて私の手を離した。

 一メートルほど離れた廊下の壁に背をもたせるようにして、朝陽が立っていたのだ。

「朝陽……」

 住田くんは気まずそうに朝陽から視線を外し、じりっと一歩下がる。

 朝陽は大股でゆっくり近づき、私の肩に腕を回した。

「お前の見る目に拍手は送るが、砂羽は諦めろ。俺は絶対に離さない」

「桜宮機長……」

 住田くんは朝陽の言葉に当惑した様子で、頭を下げると逃げるように走っていった。

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