極上パイロットが愛妻にご所望です
「俺以外から告白された気持ちは? あいつ、CAたちの間でも可愛いと言われていたな」

「CAたちの間で? そうなのね」

「砂羽? 答えになっていないんだけど?」

 朝陽は腰を軽く折って顔を近づける。そしてきれいな顔でジッと見つめる。

「もちろんただの同僚としか思っていないわ。朝陽以上に素敵な人はいないんだから」

 私の答えに満足したのか、朝陽は笑みを浮かべて、唇をかすめるようなキスをする。

「ちょ! ここ会社っ!」

「まあいいだろ。ここには防犯カメラもないし」

 そこまで確認済みで、確信犯だとわかり、私は呆れた笑みを浮かべる。

 黒のパーカーに黒のデニムの朝陽は、やんちゃな高校生みたいに見える。

「車にいると思ったわ」

「もう隠す必要もないしな。そうしたら、すごい場面に出くわした。さてと、帰ろう」

「そうよ。早くっ」

 私は朝陽の手を引っ張るようにして、社員通用出入口へ向かう。

「お前、なんでそんなに急いでるの?」

「だ、だって……」

「社内恋愛は禁止していないし、なんならここでたっぷりキスもできる」

 逆に手を引かれて立ち止まらされる。そして身体を軽く折って、私のほうへ顔を近づけ、不敵な笑みを浮かべる朝陽だ。

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