極上パイロットが愛妻にご所望です
「昨日は大変だったな。お疲れ。見事な采配ぶりはともかく、ラッキーな男だな」

「城田さん、ラッキーな男って。まあそれもありますが、技術ですよ。俺の腕」

 そう言って、朝陽は豪快に笑う。

「それは否定しないよ」

 城田機長も柔らかく微笑み、大きく頷く。

「砂羽、いつから大胆になったの?」

 久美にからかわれ、再びあわわと慌てる。

「そんな。大胆じゃないし……」

 最後の方は尻つぼみになる私だ。

「砂羽さん、今度うちへ遊びに来てください。もちろんふたりでね」

 城田機長に誘われ、「はい。ぜひ」と答えたのは朝陽だった。
 


 私と朝陽は十二月の上旬に一週間の有給申請をし、受理されると、彼が旅行の計画と手配をするからと断言される。

 夢がもうすぐ叶うかもしれないと考えた私は、顔をにやけさせてしまう。

 叶うかもしれない、というのは、オーロラは必ず見られるとは限らないから。自然のなせる業だ。

 もし見られなかったとしても、朝陽との旅行は思い出深いものになるだろう。

< 205 / 276 >

この作品をシェア

pagetop