極上パイロットが愛妻にご所望です
 秋から冬に変わっていく中、忙しい毎日が過ぎていき、待ち焦がれていた旅行当日となった。

 オーロラを見るために朝陽が計画してくれたのは、カナダのイエローナイフ。カナダへはまだ行ったことがなく、ネットで調べて一応準備万端だ。

 すべての旅行費用は彼が持つと言ってくれているけど、結婚しているわけじゃないからそこまで頼るのも嫌だ。

 のちほど精算してもらわなきゃ。

「そろそろ朝陽が到着する時間ね」

 私は壁にかかっている時計へ視線を向ける。もうすぐ十五時になるところだ。先ほど『あと十分ほどで着く』と連絡をもらっていた。

 フライトは十八時三十分発、AANとカナダの大手航空会社の共同運航便で、今回は成田国際空港から出発する。

 本来なら朝から朝陽は休暇だったのだが、本社で会議があり、休むわけにいかなく赴いていた。

 車で高速を使っていく予定だけど、十五時の時間は混んでいたらギリギリになってしまうだろう。

 白のニットワンピースにレギンス。靴は中にムートンが施されているショートブーツ。黒のダウンコートを羽織る。

 仕事のときは夜会巻きにしている髪はそのまま垂らして、白のニット帽をかぶった。

 東京もかなり寒くなってきているけど、カナダの平均気温は三度。夜はもっと下がるらしい。

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