極上パイロットが愛妻にご所望です
 モコモコして、はたから見たら不格好に見えるだろう。でも、次第にプロポーズを実感してきた私は、朝陽の腕をしっかり感じ、幸せに包まれていく。

「朝陽、ありがとう。私も愛しています」

 これから順風満帆に進むかわからないけど、朝陽が愛してくれる限り、信じてついていきたい。

 彼は私の身体を離したのち、見つめる。

「エンゲージリングも日本から持ってきているんだ。本当はオーロラをバックにカッコよく薬指にはめたかったが、こんな寒い中だと、手袋を取って指輪を持った瞬間、手がかじかんで落とす羽目になりそうだったから置いてきている」

 おどけて言う朝陽に、クスッと笑みが漏れる。

「指輪を落としてしまったら、見つからない、なんてことになりかねないものね」

「ああ。今は、オーロラを鑑賞しよう。砂羽の念願のオーロラを」

 私はコクッと頷き、手を繋ぎながら、さらに大きくなりゆらゆらと揺らめくオーロラを静かに見つめた。

 美しいオーロラを鑑賞しながらも、隣にいる朝陽に神経が集中してしまい、ドキドキ心臓が暴れて痛いくらいだ。

 私、本当に朝陽からプロポーズされたんだよね……。

 オーロラが見せてくれた夢ではないのかと思ってしまうほど、幻想的な時間だ。

 それからオーロラは、三十分ほど神秘的な姿を見せてくれたが、終わるのも突然だった。

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