極上パイロットが愛妻にご所望です
 私は「いただきます」と両手を合わせて、野菜がたっぷり入ったすいとんのおつゆをすする。

「お母さんのいつもの味。美味しいわ」

「砂羽はすいとんが好きだから、来るって聞いて材料を買っておいたのよ。外は寒いでしょ。温まるわよね」

「お姉ちゃん、旅行へは誰と行ったの? 友莉子さんと?」

 美羽の質問に私は箸を置いて、目の前のお母さんとお父さんを真剣な眼差しで見る。

「お父さん、お母さん」

「どうしたの? 急に改まって」

 お母さんは私の態度にキョトンとなっているけど、お父さんは食べ進めていて耳だけ傾けているみたい。

「私、プロポーズされたの」

 次の瞬間、お父さんが口の中のものを吹き出した。

「やだ! お父さんっ、汚い!」

 被害を受けたのはお父さんの前の席の美羽。慌てて立ち上がった美羽は、離れたところにあったティッシュボックスを持って戻ってくる。

「ごめんごめん」と、お父さんは謝り、オロオロと私へ顔を向けた。

「砂羽。今、プロポーズと言ったか?」

「はい」

 真摯な表情でしっかりとはっきり答えて頷く。

「相手は、だ、誰なんだ?」

 寝耳に水のお父さんはかなり動揺しているようだ。

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