極上パイロットが愛妻にご所望です
「桜宮朝陽さんといって、AANのパイロットなの。年は三十一歳で――」
「ワオ! パイロット!?」
お父さんが飛ばしたものを拭き終えた美羽が、興奮したように身を乗り出す。
「その年じゃ、副操縦士ね」とお母さん。
「ううん。違うの。我が社の最年少機長なの。今年の五月から」
「そんなすごい人が砂羽の彼……なの?」
お母さんはびっくりし、落ち着こうとしているのか、水を口にする。
「そう。で……彼はAANの社長の息子なの」
さらに三人は驚き、あんぐり口を開けた。
先に我に返ったのは美羽で、「御曹司がお姉ちゃんの恋人?」と、目をパチクリさせた。
私は十七年前の羽田国際空港の展望デッキの話をした。
「そんなことが現実にあるとは……」
お父さんは感慨深げにため息を漏らす。
「今はローマに飛んでいて、これから年末の繁忙期になるから、挨拶は来年になってしまうんだけど、その前に知らせておこうと思って、来たの」
「その、経歴的には素晴らしいが、性格はどうなんだ? 御曹司ということじゃないか。好き放題な生活をしてきたんじゃないか?」
お父さんが言いたいのは、いわゆる女遊びのこと。
「ワオ! パイロット!?」
お父さんが飛ばしたものを拭き終えた美羽が、興奮したように身を乗り出す。
「その年じゃ、副操縦士ね」とお母さん。
「ううん。違うの。我が社の最年少機長なの。今年の五月から」
「そんなすごい人が砂羽の彼……なの?」
お母さんはびっくりし、落ち着こうとしているのか、水を口にする。
「そう。で……彼はAANの社長の息子なの」
さらに三人は驚き、あんぐり口を開けた。
先に我に返ったのは美羽で、「御曹司がお姉ちゃんの恋人?」と、目をパチクリさせた。
私は十七年前の羽田国際空港の展望デッキの話をした。
「そんなことが現実にあるとは……」
お父さんは感慨深げにため息を漏らす。
「今はローマに飛んでいて、これから年末の繁忙期になるから、挨拶は来年になってしまうんだけど、その前に知らせておこうと思って、来たの」
「その、経歴的には素晴らしいが、性格はどうなんだ? 御曹司ということじゃないか。好き放題な生活をしてきたんじゃないか?」
お父さんが言いたいのは、いわゆる女遊びのこと。