極上パイロットが愛妻にご所望です
「朝陽は真面目で素敵な人よ。お父さんも会えばわかるわ」

「砂羽。お前の選んだ男だ。喜んで会うよ。両家が釣り合わないせいで、お前の肩身が狭い思いをしなければいいが」

 お父さんは不安を口にした。確かに中小企業の課長であるお父さんが主の我が家は、桜宮家とは格差がある。そこは私も気にしているところだ。ハンナさんのような嫁を勧めていたくらいなんだから、私が朝陽のご両親のお眼鏡に叶うかを心配している。でも、ここで不安を言ったら、お父さんたちは憂慮するはず。

 安心させるように笑みを浮かべた私だった。
 

 ローマへ飛んでいた朝陽は、私が実家へ行った翌日に帰国した。朝陽はデブリーフィング後、直接うちへ来てくれる約束になっている。彼は明日休みだけど、私は早番で長い時間は一緒にいられないから。

 夕食のリクエストは味噌煮込みうどんで、彼は私がそれしか作れないと思っているのかもしれない。だから、手作りのメンチカツや卵焼きも作ってみた。

 メンチカツは下ごしらえで成形までして、朝陽の連絡を待って揚げる。

 夕方、今から出ると連絡があり、急いで支度を始める。

 朝陽のために料理をすることが嬉しくて、笑みを浮かべながらメンチカツを揚げている私だ。



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