極上パイロットが愛妻にご所望です
 味噌煮込みうどんを丼に入れて、テーブルに並べてでき上がりだ。

 時刻は十七時と夕食には早いけれど、朝陽はお腹が空いていると言っていたから、たくさん食べてくれるだろう。

 洗面所から戻ってきた彼は、長い足をあぐらにしてラグの上に座る。

「うまそう。コロッケ? メンチ?」

「メンチカツなの。美味しくできたか自信はないけど、食べてみて」

「いただきます」

 朝陽はソースをかけて、ひと口大に箸で切ると、パクリと口の中へメンチを入れる。

 味わうように咀嚼した彼は、不安そうな私ににっこり笑う。

「うまいよ。揚げたてでサクサクしている。何個でもいけそう。ありがとう」

 美味しそうに食べ進める朝陽に、ホッと胸を撫で下ろす。

「昨日、実家へ行ってきたの。朝陽のことも話そうと思って」

「うん。どうだった? もしかして反対されたか?」

「朝陽の家とうちの差がありすぎて、お父さんは心配していただけ。会いたいって言っていたわ」

 箸を止めて真剣に聞いてくれていた朝陽の顔に、安堵の笑みが広がる。

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