極上パイロットが愛妻にご所望です
 それがほとんどエコノミークラスの重量オーバーで、超過料金を払いたくない外国人乗客の対応をしながら、こなしていく。
 
 重量のあるスーツケースを何度も持ち上げては計量器の上にのせ、フライトのタグをつけたのち、後方のベルトコンベアに流す。
 
 今日はいつにも増して大変な作業量だった。チェックインのお客さまが途切れ、右手首をさすっていると、それに気づいた比呂が心配そうに私を見る。

「砂羽、手が痛む?」

「ちょっとね。ひねっちゃったのかも」

「今日は格別に重量級のスーツケースばかりだったからね。交代しましょう」

 比呂と立ち位置を変わり、再び並び始めたお客さまを手を上げて呼び、痛みを気にしないように笑顔で接客する。

 チェックインの際、キーボードを打つだけなのに、右手首から肘にかけてズキッと痛みが走る。

 今までも痛かったことは何度もあるし、そのときは翌日には治っていた。今回もたいしたことはないはず。

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