極上パイロットが愛妻にご所望です
「水樹砂羽です。よろしくお願いします」

 私も、目鼻立ちのはっきりしたなかなかのイケメンの住田くんに挨拶をした。
 
 男性の制服は細身の紺のスーツで、ネクタイは私たちが首に巻いているスカーフと、色とデザインが同じものになっている。
 
 GSの座学研修は入社前からあり、新入社員は基礎知識を詰め込んだところ。
 
 ゴールデンウィークを二週間後に控え、繁忙期に突入する前に、ある程度ひとり立ちができるようにとの会社の方針である。
 
 今日の私の担当は、カウンターで乗客の搭乗手続きの後、十一時発のヘルシンキ行きのゲート業務。

 トラブルがなければ九時から一時間休憩、十四時に退勤となる。
 
 ブリーフィング後、私は住田くんへ視線を向けた。ここから休憩時間まで気が抜けない。

「住田くん、行きましょう」

「は、はいっ!」

 私は住田くんを伴い、出発ロビーAANカウンターへ急いだ。

 早いものでは八時過ぎの出発便がある。始発でやってくる乗客のチェックインを、なるべく待たさず、滞りなく行いたい。

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