極上パイロットが愛妻にご所望です
「コーパイではなくて、五月から機長になったばかり」

『ええっ!? 機長に? 彼、若く見えるだけ? あのテーブルにいた誰より年下に見えたよ?』

 確かにあのメンバーで、桜宮さんは一番若いはず。コーパイでも四十歳を過ぎてからの機長昇進はざらだ。

「桜宮さんは海外で若くしてライセンスを取得したらしいから」

『そうなんだ。で、素晴らしい男性が砂羽のお世話を? いい雰囲気になった?』

「な、なっていないわ」

 桜宮さんは付き合ってというけれど、いつも余裕の表情で、始終ドキドキ胸を高鳴らせていたのは私のほうだ。

『でも砂羽をよく知りたいって言っていたじゃない。もしかしてあの場の軽いジョーク?』

 友莉子の声がだんだん怒りを秘めてきたように聞こえて急いで「違うと思う!」と弁明する。

『よくわからないわね』

 電話の向こうで友莉子がぶつぶつ言っている。

『じゃあ、ただ優しかっただけ? あれだけ砂羽に気を持たせておいて?』

 私がはっきりしないから、桜宮さんが悪者になっている。

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