極上パイロットが愛妻にご所望です
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 住田くんは頭が回り、インストラクターである私はときどき手伝うだけで、スムーズに乗客をチェックインさせている。
 
 特にトラブルがないことはグランドスタッフとしては当たり前なのだが、私が新人になりたてのOJTのときは、緊張と慣れない作業で、パスポートと予約の名前の一文字一文字を確かめるのに時間がかかった。
 
 しかし住田くんはスペルチェックも余裕で、慣れたような笑顔で接客しており、私は彼の働きに感心していた。
 
 
 九時になる少し前、交代のGSがやってきて私たちのカウンターを引き継ぐ。

「住田くん、疲れたでしょう。休憩よ」

「座学研修より楽しくて。もう休憩なんですね」

 疲れた様子のない笑顔の住田くんに、私は『やっぱり若さってすごい……』と思いながら事務所へ向かう。

「早番のスタッフは、この時間に食事をしているのよ」

 缶コーヒーを口にしただけで仕事に従事し、この休憩時間に朝食を食べる。その後、退勤の十四時までは食事をとらないため、わりとたっぷりの朝食だ。

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