極上パイロットが愛妻にご所望です
「だいぶよくなりました。迷惑をおかけした分、頑張ります」

「今週はチェックインカウンター業務から外したから。住田くんとゲートのほうをお願いね」

「ありがとうございます」

「桜宮機長と知り合いだったのね？　病院へ一緒に行ったと聞いたわ」

　日向主任の配慮に感謝し、もう一度頭を下げたところで、彼女の質問にギョッとなった。なにか言われるとは予想はしていたけど。

　私は急いでなんでもない表情を作ってから、顔を上げる。

「金曜日の平尾さんの結婚披露宴でテーブルが同じだったので、気にしてくださったようです」

「テーブルが一緒だった……。それで……。水樹さん。桜宮機長とあなたが一緒に出ていったと噂になっているから、行動に注意してね」

　社内恋愛が禁止されているわけではないけれど、桜宮さんは特別な存在。日向主任は私のことを思って軽く釘を刺してくれたのだと、理解できる。

「はい。わかりました。それでは失礼します」

　会釈をして日向主任から離れて事務所の隅へ行き、並んでいるパソコンのひとつを使用し本日の業務を確認後、仕事に向かった。

　桜宮さんと私、日向主任の耳に入るくらい噂になっちゃっているのか……。

　思わず重いため息が小さく開けた口から「ふう～」と漏らす。
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