極上パイロットが愛妻にご所望です
「座学研修のインストラクターから聞きました。朝が早いので、みなさんは休憩時間に食べていると教えていただきました」

 住田くんと歩いていると、彼の身長は私より十センチほどだけ高いことに気づく。笑顔が可愛いアイドル系の顔をしている彼が、今後どんなGSになるのか楽しみだ。

 食堂へ向かう途中、前方から袖口に金色の四本ラインが入った黒い制服の男性と、隣を歩く三本ラインのパイロットの男性が話しながら歩いてきた。

 四本ラインは機長、三本ラインは副操縦士(コーパイ)の印。

 なによりも目を引くのがコーパイの男性だ。高身長でモデル級のスタイルの持ち主だが、パイロットの制服姿がビシッと決まっているのは、鍛えられた体躯で着こなしているからだろう。

 キリッとした眉。切れ長の目。鼻梁はうらやましくなるくらい高く、唇はセクシーな雰囲気を漂わせるほど形がいい。限りなく恵まれた容姿の彼だ。

 機長を前にして余裕のある身のこなしと滲み出るような気品で、洗練されているように見える彼は、桜宮(さくらみや)朝陽(あさひ)副操縦士。

 桜宮さんはAANの創始者のひ孫にあたり、生まれながらにしての御曹司。CAの間では彼は『王子』と呼ばれている。

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