極上パイロットが愛妻にご所望です
***
桜宮さんは明日の夜、ローマへ飛ぶ。私は早番。
これから彼と交際していくには、すれ違いの勤務時間帯を睨めっこしながら、なんとか時間をやりくりして会うしかない。
問題は、周りに付き合っていると知られたくないこと。でも、それは簡単にクリアできるはず。ゲートなどでバッタリ会ったときは、誰にでもするように会釈をするだけにすればいいのだから。
自宅へ送ってくれる車の中で私がそう話すと、桜宮さんに思いっきりため息をつかれてしまう。
「俺は砂羽のこと、隠すつもりはない」
厳しい眼差しで前を見据え、運転中の桜宮さんはきっぱり口にする。
彼はスーツの上着を脱ぎ、えんじ色のネクタイを軽く緩めている。袖もまくられて、ステアリングを操るたびに腕の筋肉が動き、それだけで胸が暴れだしてくる。
制服もスーツも細身に見えるのに、しっかりと筋肉がついているところから、身体には気を使っているみたいだ。
パイロットは体力もなくてはならないと聞いている。
心臓の高鳴りを気にしないようにして、桜宮さんに抵抗してみる。
「でもっ、久美の結婚式のこともいまだに噂が尾ひれをつけて飛び回っているんです。本当に私が桜宮さんの恋人になったと知られたら、嫉妬の嵐が……」
想像したら、ブルッと震えが出てくる。
桜宮さんは明日の夜、ローマへ飛ぶ。私は早番。
これから彼と交際していくには、すれ違いの勤務時間帯を睨めっこしながら、なんとか時間をやりくりして会うしかない。
問題は、周りに付き合っていると知られたくないこと。でも、それは簡単にクリアできるはず。ゲートなどでバッタリ会ったときは、誰にでもするように会釈をするだけにすればいいのだから。
自宅へ送ってくれる車の中で私がそう話すと、桜宮さんに思いっきりため息をつかれてしまう。
「俺は砂羽のこと、隠すつもりはない」
厳しい眼差しで前を見据え、運転中の桜宮さんはきっぱり口にする。
彼はスーツの上着を脱ぎ、えんじ色のネクタイを軽く緩めている。袖もまくられて、ステアリングを操るたびに腕の筋肉が動き、それだけで胸が暴れだしてくる。
制服もスーツも細身に見えるのに、しっかりと筋肉がついているところから、身体には気を使っているみたいだ。
パイロットは体力もなくてはならないと聞いている。
心臓の高鳴りを気にしないようにして、桜宮さんに抵抗してみる。
「でもっ、久美の結婚式のこともいまだに噂が尾ひれをつけて飛び回っているんです。本当に私が桜宮さんの恋人になったと知られたら、嫉妬の嵐が……」
想像したら、ブルッと震えが出てくる。