極上パイロットが愛妻にご所望です
＊＊＊

「お疲れさまでした！」

「お疲れさま」

　更衣室で着替えている私に畑中さんが声をかけて出ていく。

「砂羽、どこか寄っていく？」

　比呂からのお誘い。行きたいところだけど、眠くて仕方なく、残念そうに頭を横に振る。

「ごめん。眠くて。瞼が今にも落ちてきそうなの」

「あ、そうだったわ。今日は帰って数時間寝たほうがいいね」

　寝すぎても、変な時間に起きてしまい、同じループになってしまいそうだけど。

「三時間くらいにとどめておくよ。また眠れなくなるとまずいから。じゃあ、先に行くね」

　パタンとロッカーを閉めて、まだ着替え途中の比呂を残して、更衣室を退出した。

　廊下を歩きながら、スマホをバッグから出して桜宮さんからのメッセージがないか、つい確認してしまう。

　彼からのメッセージはなかった。

　がっかりしながら、バッグに戻したとき、名前を呼ばれた。

「砂羽」

　桜宮さんの声だった。

　ハッとなって、顔を上げたすぐそこにデニム姿と半袖の襟付きのシャツを着た彼が立っていた。

　桜宮さんの姿にビクッと肩を震わせて驚き、辺りをキョロキョロ見回す。

　人はいなくて、私はホッと安堵する。

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