WhiteSnowPrincess
「こんにちは。」

それだけ言うと、少女は小鳥達とくるくる踊り始めました。

「はは、あははっ。」

「あ、あのっ…俺はメロウ。君は?」

メロウがおどおどしながら名を聞くと、少女は哀しげな表情をし、踊るのをやめました。

「名前…分からない。記憶が…無いの。」

「あ…。」

メロウは気まずそうにポケットに手を入れ、目を伏せました。中には紙とキャンディーが入っています。

「ごめん。」

「大丈夫。友達沢山いるから。」

少女の笑顔は美しく、とても儚く思えました。

「よかったら、これ食べて。」

メロウは頬を少し赤らめ、ポケットに入っていたキャンディーを渡しました。

「…?」

少女は不思議そうにキャンディーを眺め、メロウが苦笑しながら彼女の口に入れてあげました。

「きゃー、甘ぁ〜い。」

少女は嬉しそうにまた踊り始めました。
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