WhiteSnowPrincess
鏡はまるで高熱で溶けだしたガラスのように歪み、変形し、黒髪の人間を産み落としました。

「あっ…。はっ…。くっ…じょ、女王様、もっと…マシな魔法は…なかっ…たんです、か…?きっ…つぅ…。それに、」

それは鏡の声でした。
壁に立て掛けられていたはずの鏡は、金の額縁だけを残したガラクタと化し、静かに輝いています。

ゆっくり立ち上がった鏡は、肩まである黒髪を揺らし、綺麗な金色の瞳で真っ直ぐ女王を見つめました。

女王は一瞬顔を引きつらせましたが、その後、不機嫌そうに鏡に怒鳴るのでした。

「いいからさっさと行くー!」

「ラジャー!」
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