WhiteSnowPrincess
「エスピルオ・フォーネ!」

闇の中聞えてきたのは勇ましい女王の声。

――ブワッ

同時に鏡の周りに強い風が渦巻き始めました。

「え、女王様!?」

鏡は辺りを見回しましたが、女王の姿は見えません。

「「「うわあぁぁ!」」」

次に数人の男の悲鳴が上がりました。

「どうした!」

「何があった!」

マフィア達の注意が鏡から逸れ、鏡はそっとその場から逃げました。

「まったく…人がわざわざ足を運んでみればこれなんだから。」

鏡が振り向くとそこにはあの女王が立っていました。

「じょ、女王様!」

月明かりに照らされた女王の金髪がきらきらと輝き、振り向きざまにふっと笑顔を見せました。

「あんまりガッカリさせないでちょうだい。」

左目の泣きホクロが色っぽく感じさせます。

「わかってますって。」

鏡は体勢を低くとり直し、

「手助けしてあげる。」

女王は手を上に振りかざしました。

白く小さい手が大量に地から生えてきた頃。

「ラウンド2ってとこですかね。レディー…ファイ!」

そこは小さな戦場と化しました。
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