WhiteSnowPrincess
しばらくして、

「ルイス王子ー!探しましたぞー!」

ふと、遠くから1人の男が走ってきました。

「あ、大臣!」

ルイスは手を振り、白雪姫の手を引いて大臣に近づきました。すると――

「娘!その汚らわしい手で王子に触れるなぁ!」

――バシッ

「きゃあ!」

なんと、大臣は力一杯に白雪姫に平手打ちを食らわせたのです!拍子に髪がほどけた白雪姫は、そのまま地面に叩きつけられました。

――ドサァッ

「…っ!?」

ルイスにはそれがスローモーションのように見えました。
そしてその光景がある映像と重なったのです。

それは、いつの日かにみた夢でした。

「やめろぉ!白雪姫は悪くない!
悪いのは僕なんだぁ!!
先に話し掛けたのは僕だ!
連れて歩いたのも僕だ!
この子が地に落とされたのも…殺されそうになったのも…僕の、せい…だ…。」

ルイスは弾くように大臣に飛び掛かり、泣きすがりました。

「…え?」

白雪姫は痛みをこらえ、恐る恐るルイスと大臣の方を向きました。

「ル、ルイス王子…何をおっしゃっているか…さっぱり。」

街の人々が集まり始め、大臣はおろおろ焦りだしました。

「謝ってよ!白雪姫は何も悪くない!」

「そうだー!」

「女の子に謝れー!」

「あんな可愛らしい子を!」

気付くと、周りの人々が次々と野次をとばし始めていました。

大臣は慌てて白雪姫に土下座で謝りました。

「申し訳ございませんでした!ルイス王子のお友達とはつい知らず、無礼なことを…!」

「は、あ、い、いえ…そんな…。」

その謝り方に、まだ10歳の白雪姫は逆に恐縮してしまいました。
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