WhiteSnowPrincess
「やっぱりね…元・雪の姫神、白雪姫。堕天使にされたはずじゃないの?」

女王は赤いドレスをゆらりと揺らし、眉間にしわを寄せていました。

「…うん。私は堕天使。そして、不老不死のモンスター。死ぬはずだったファイ…人を1人助けるために、吹雪を降らせ、死なないで済んだ人達を凍死させた。」

(白雪姫が堕天使…?やっぱりあれは夢じゃなかったのか…。)

「ふんっ。じゃあ毒リンゴでは死なないわね。でも、普通堕天使の末路って…コレよね?」

女王は歪んだ笑みを浮かべ、1本の白い手を引っ張り出しました。

「「……っ!?」」

――ギャオオン、ギャオオン!

その姿を見た白雪姫とルイスは息を呑みました。

パッと見は小さな白い赤子。でもなにかが、明らかに違いました。

――ギャオオン、ギャオオン、ギャオオン!

<嫌ああ!放してぇ!この醜い姿をさらさないでぇぇぇ!!!!>

「…放してあげてっ!」

思わず叫んだ白雪姫の耳に、それは確かに届きました。

「女王様!お止めください!」

「!…鏡さん。」

「あ…白雪姫……。」

白雪姫に見つかった鏡は1歩後退りし、気まずそうに目を逸らしました。

「貴方に命令される筋合いはないわ、鏡。白雪姫ぇ、もしかしてこの堕天使の言葉が通じちゃったりするの?」

「白雪…姫ぇっ!」

「……。」

白雪姫は女王の言葉を無視し、ルイスの元へ行きました。

「皆、必ず助けるから…お願い。彼から離れて…。」

白雪姫はルイスの前にゆっくりとしゃがみ込みました。
そして、無数ある白い手の中の1つにそっと触れたとき。

――シュルッ

手は一斉に床へと姿を消しました。
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