あなたのその声で…
２コールくらい鳴ったところで、相手が出た。

「もしもし？」


「あ、先日ご来店いただきました不動産屋のものですが・・・。」


「あ、先日はどうも。」

そっけない態度に若干イラっとしながらも、「あの、”彼女”から連絡があったので・・・。」

と切り出すと、突然刑事はあわてた様子で「ちょ、ちょっと待ってください！」
と叫んだ。



しばらくして、どうやら静かなところに移動したらしい刑事は、冷静を取り戻して電話口に出た。



「もしもし？・・・失礼しました。それで”彼女”はなんて？」


「あ、なんか鍵を交換してほしいってことだったので、明日お部屋に行くことにしたんです。」

「彼女に会うんですか？」

「いえ、明日はご本人がお部屋にいらっしゃらないとのことだったので、あたしだけがお部屋に行って、鍵を交換してきます。”彼女”は月曜日にうちの会社に交換した鍵を受け取りに来社するそうです・・・。」



あたしは先ほどの”彼女”とのやりとりを刑事に説明した。



「月曜日・・・ですか？・・・」



なにかを考えている様子の刑事は、しばらくの沈黙のあと、「これから会社に伺ってもいいですか？」


と言った。



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