あなたのその声で…
友達6人が集まって、居酒屋でジョッキをぶつけ合う。


26歳にもなると、結婚しているコや子供がいるコが半分を占めていた。


「なかなか集まるの難しくなってくるよね~。」


一番最初に結婚したコが言う。

「そうそう、子供預けるにも、しょっちゅうだと姑がうるさいでしょ。あんたはいいよね、花の独身で♡ 」


最近子供が1歳になったコがあたしの鼻をつまみながら言った。


「ま~ね。一生独身っていうのも悪くないかも!」


あたしは精一杯の強がりを言って、(この席失敗だな。)と心の中で舌打ちをした。




飲み会もいい感じに盛り上がって、みんなで「次どうするぅ~?」なんて相談をしていた頃、テーブルに放り投げていたあたしの携帯がブルルっと震えた。


着信を見て、一気に酔いが醒める。



”彼女”だ。



あたしは、盛り上がる個室を抜け出し、外に出た。



「もしもし?」


緊張気味に電話に出ると、「あ、もしもし?こんばんは。遅くにごめんね。今大丈夫?」


と若干陽気な”彼女”の声が聞こえた。



「あ、全然大丈夫です。ちょっと外にいたんで、騒がしいかもしれませんけど・・。」


あたしは動揺を悟られないように、努めて明るい声を出した。


「そっか~。飲んでたの?いいなぁ。あたしなんか、今妊娠中だから、お酒飲めないんだ~。」


何気なく彼女がそう言った。


「え?妊娠なさってるんですか?」


つい、そう聞いてしまった。



「うん・・。11月にね、生まれる予定なの。」


恥ずかしそうに彼女が答える。



「それは・・・。おめでとうございます。・・・」



彼女がどんな罪を犯してしまったか、分からないけれど、もし、『逮捕』なんてことになったら、彼女はどうなってしまうんだろう・・・。


余計なコトとは思いながらも、そんなことを考えてしまった。



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