あなたのその声で…
「じゃ、そろそろ出ましょうか。」



刑事さんは、日曜日の説明を終えると、あっさりと席を立った。



「あ・・・はい・・。」



あたしは、ちょっぴりがっかりした気持ちで後を追う。


「ご自宅、どちらですか?」



ワリカンにしましょうというあたしを遮って、刑事さんはさっさと会計をすませ、店の外に出た。




「あ、ここから歩いて20分くらいのところです。」


必要以上にあたしの胸がドキドキする。



「送ります。」


「あ、いえ、遠いですから、大丈夫ですよ。」


「仕事ですから。それに、日曜日お迎えに上がるのに、場所、知っておきたいし。」


「あ・・・ですよね・・。」


”仕事”という言葉にまた胸がしぼみそうになりながら、あたしは素直に送ってもらうことにした。





「さっき・・。」

「ん?」


あたしが見上げると、刑事さんは

「いや、余計なことでした。」

と話をやめてしまった。


「なんですか?気になります。」


あたしはムキになって続きをせがむ。





「いや、仕事と関係ない話ですので・・。」


「いいですよ。関係なくても。」

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