あなたのその声で…



日がたつにつれて、だんだんつわりもきつくなり、あたしはお腹の中の【命】がビックリするほどのスピードで自分をアピールするのを感じる。





それに伴って、あたしのあせりもピークに達していた。


(彼はいつになったらうちの実家に挨拶にきてくれるんだろう・・。)


だから、会う度に彼に問う。



「いつ、来てくれるの?」




始めは、それが、何かのイベントでもあるようにウキウキしていたあたしも、最後の方はただの”あせり”でしかなかった。








ある日、朝、仕事に行く前の時間に彼からめずらしく電話が鳴った。



「もしもし?どうしたの?」


「ごめん、今日仕事終わってから、時間ある?ちょっと話があるんだけど・・・。」





ザワザワとあたしの中にあった黒い影が体中を支配する。


とってもとってもイヤな予感。






「うん、いいよ。」



それでもあたしは、それに気づかないフリをして、会う約束をした。
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