あなたのその声で…
黙って聞いていた母親がポツリと言う。
「もう、全部終わらせて、ラクに、なろ?」
そのとき、あたしは目の前にあった”絶望”という壁から、ゴロゴロと音をたてて、落ちたのを実感した・・・。
それから、お母さんは、時間をかけてあたしを説得した。
彼はまだ、父親になる覚悟ができていないこと。
はじめから、離婚を想定している彼と結婚したって、絶対に上手くいかないこと。
そして、彼がそれを決断している以上、あたしがどんなにあがいても、もう、この”恋”は終わってしまっていること・・・。
あたしの心の中の黒い影が、フっと、消えた・・・・。