あなたのその声で…
母親と話したことで、あたしは、ようやく自分自身を落ち着かせることができた。


それは、同時にこの罪に対して、決断をしなければいけないということ。





彼の、一時の感情の揺れでできてしまった小さな、けれど尊い【命】。

あたしの一人よがりで、それはどんどん大きくなって、一番最後に病院に行ったときには、すでにうっすらと人の形が見てとれた。



それを自分たちの勝手で、葬ってしまわなければならない。




ただの”人殺し”だ・・・・。






母親には、彼との別れを決断したと伝えたものの、お腹の命との別れを、あたしはまだ、決心することができないでいた・・・。




もう4ヶ月に入ったあたしの赤ちゃんは、初期の中絶とは違い、通常の出産と同じように行われるらしい。


そのために1週間の入院が必要だったのだ。




その、入院の日が、もう明日というところまで迫っていた。


















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