あなたのその声で…
中から、“彼女”が降りてくる。

「こんにちは。」

“彼女”はとってもキレイな顔をしていた。

けれど、それ以上に『幸せに嫌われる』顔もしていたことを覚えている。

後ろから降りてきて、ピョコンと顔を出した少女は、そんな“彼女”にとてもよく似ていた。

2人を連れてあたしは、物件へと急ぐ。

室内を見せると、彼女はとっても嬉しそうだった。

“彼女”はとてもよくしゃべる。そして、人懐っこい性格のようだ。

あたしが、名刺を渡すと、すぐに下の名前で呼び始めた。

ダンナさんとは、借金が理由で離婚したらしい。聞いてもいないことまで、話してくれた。


しばらく室内を見回したあと、“彼女”は「決めます。」と言った。








その時、確かに警報が鳴っていたのだ。あたしの中で―――――。










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