あなたのその声で…
休日出勤、とは言っても今日やるべきことは特にない。


とりあえずパソコンを立ち上げ、ゲームを始めた。


しばらく熱中してしまっていて、近づいてくるヒールの音に気がついた時には、すでに入口から”彼女”がピョコンと顔を出していた。



「こんにちは」



「あ!こんにちは!急に予定変更しちゃってごめんなさい。」




あたしは、なるべく不自然にならないように笑顔をひきつらせる。


“彼女”があたしの目の前に腰掛けた。



鍵を渡し、受領書にサインをもらって、あたしは“彼女”に問い掛ける。



「赤ちゃん、楽しみですね」



すると“彼女”は、本当に幸せそうに、
「ありがと」
と言った。



『幸せ』にとことん嫌われているのも知らずに・・・。



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