あなたのその声で…
怖かったとはいえ、実際に刑事さんを部屋へ呼んでしまい、あたしはものすごく後悔した。
ただでさえ、口数の少ない刑事さん。
見事なまでの沈黙が部屋を覆う。
「あの、仕事終わりでしたら、お酒、飲みませんか?」
あたしは耐えられなくて言った。
「いいですよ、少しだけ・・。」
その言葉に安心して、あたしは冷蔵庫からビールを出す。
「何か、作りますね。」
あたしはキッチンへと立った。
一人暮らしが長いせいか、料理は割りと好きだ。
冷蔵庫にあるもので、適当に料理を作ってテーブルに並べた。
刑事さんは、お腹がすいていたのか、それとも、手作りの料理に飢えていたのか、あっという間に料理を平らげてくれた。
「美味しかった、です。」
少しだけ、照れているように見えたのは気のせいだろうか。
あたしは、何本目かのビールを刑事さんに手渡しながら、なんとなく隣に座ってしまった。
ほどよく酔いの回ったあたしはつい、しゃべりすぎてしまう。
気が付けば、前の彼の話を始めてしまっていた。