あなたのその声で…
「前に、刑事さん、『そんなに悲しい恋愛だったんですか?』って聞きましたよね?」



「そういえば、そんな会話もありましたね。」



刑事さんは、アルコールが入っても、いつもの調子でしゃべる。



「あたし、すっごく好きだったんです。その人のこと。けど、気が付けば空回りしちゃったんですよね。その想いが・・・。」



また思い出して、涙が溢れてくる。



あたしの中で、思い出になっていないのは、本当は『彼』じゃなくて、『赤ちゃん』だったんだけれど、まだ、刑事さんに、それは、言えなかった・・。




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