あなたのその声で…
黒くて、まっすぐで長い髪。



それと全く同じ色で揃えられた、綺麗で大きな瞳。



そして、それを引き立てる白い肌。




あたしは自分が女だってことも忘れて、その人に“一目ぼれ”してしまった。







ホテルまではバスで移動。


あたしが窓際の席を陣取ると、彼女は当然のように隣りに座って来た。




「ココ、いい?」




「あ、あ、もちろんっ!」


何故か緊張して声が裏返ってしまう。




そんなあたしに、彼女は囁いた。








「おじいちゃん、ばっかりね」





苦笑している顔が、たまらなくかわいい。





「そだね。ひ、一人なの?」




あたしは聞いてしまってから、ハッとした。




こんな平日のプランに一人で来るなんて、何かのっぴきならない事情があるに決まってる。あたしみたく(たまたま有休とれっちゃったし~)なんてお気軽OLでさえ、実は刑事さんの思い出を振り切るためにココへ来てる。




こんなキレイな彼女が、『たまたま~』なんて事情でこのバスに乗っている訳がないんだ!




あたしは、なんだかおかしなテンションでそう思い込もうとしたけれど、彼女がその前に口を開いた。


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