あなたのその声で…
あたしはどうやらそのまま眠ってしまったようだ。



気がついたら、隣にサクラはいなかった。

乱れたシーツだけが、昨日の快楽を思い出させる。


そう、あれは確かに、あたしにとって”快楽”だった。


ふと、刑事さんとの最後の夜を思い出す。


『いやっ・・・』


いつの間にか待ちわびていたはずの、刑事さん。


なのにどうしてとっさにあの”声”が聞こえたのだろう・・・。

そして、今回、サクラにはどうして全てを許してしまったのだろう・・・。




答えは簡単。



彼女とのSEXでは、新しい【命】が誕生する可能性がゼロ、だから。


あたしは、一生【罪】を背負うと自分で言っておきながら、その心配がなければ、誰とでもSEXできるbitchなんだ。


「っ、サイテー」



あたしは、口の端で笑うと、バージニアスリムに火を着けた。





その時、あたしのカバンの中で、今日一日ずっと忘れ去られていた携帯が、ピリリ・・・と鳴った。



この着信音は、仕事関係者。



< 66 / 79 >

この作品をシェア

pagetop