あなたのその声で…
初めて、若手が口を開いた。

(ハスキーな声・・。)

そう思いながら、あたしは説明を続ける。



「なんか、あまりあの部屋には帰っていない、みたいなこと言ってましたよ。あたしも気になったから聞いたんです。」


「お友達のところにでも行ってるんですかね?」


今度はベテラン。

「どうでしょうね?そのあたりは管轄外というか・・。うちは家賃さえ遅れなく支払ってもらえれば、普段住んでるかどうかまでは、気にしませんからね・・。」

「そうですよね。あの、今後も彼女から連絡くるような可能性ってあります?」

「う~ん。。なんとも言えないですね。人によっては退去するまで、話する機会がない入居者もたくさんいますから・・。」


「連絡がとれれば最高なんだけどなぁ。もし連絡が入ったら、すぐコイツに連絡もらえますか?携帯の番号、お知らせしておきますので。」



「わかりました。ご期待には添えないとは思いますけど、もし、連絡が入ったら、その時は電話します。」

あたしのその返事を確認すると、刑事2人は帰って行った。



作り笑顔を作り慣れているあたしでも、さすがにひきつってしまった笑顔を隠さずに、刑事たちを見送って、デスクにすとんと座った。

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