あなたのその声で…



4時間ほどで、あたしは地元の空港に着いた。


空港を出ると、一番目立つ場所で刑事さんは待っていてくれた。



あたしは、これ以上迷惑をかけてはいけないという重思いで、涙を堪えながら必死で作った笑顔を向けた。



あたしを見つけた瞬間、刑事さんは早足で来て、頭をポンポンって、してくれた。






「車で詳しい話、聞かせてもらえまか?」


コクン。



あたしは、素直に刑事さんの車の助手席に乗る。


(“おとり捜査”の時に迎えに来てくれた車....。ってことはきっと覆面パトカーだ。やっぱりこれも『仕事』だもんね。)



あたしは自分に言い聞かせる。


「で?“彼女”は電話でなんて?」



「あ、えと、話があるって。わかってると思うけど、って。バカンスが終わったら、必ず電話よこせって。あの、あたし、今回旅行に来たの、思いつきだったんです。急に連休もらえることになって、ってか、もともとサボるために会社に電話したら、上司が有給つかってないんだから、連休とれって。だから、あの、今回あたしが旅行に来ていることは、あたし以外誰も知らないんです!なのに、“彼女”はそれを知ってた...。」



あたしは、今までの不安を、一刻も早く刑事さんに分かってほしくて、一気にまくし立てた。




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