あなたのその声で…
「あの!“彼女”、逮捕されたんじゃなかったんですか?こんなに早く出てこれるもんなんですか?!ずっとずっと、出てこないんだろうって、だから協力したのに....。」


刑事さんは何も悪くないのに、イヤな言葉がどんどん溢れる。


「絶対大丈夫って言いましたよね?!なんかあっても守ってくれるって!」



「守りますよ?大丈夫。安心して。」



刑事さんは冷静にそう言ったーーーーー。





その目にが、一瞬にして仕事モードへと変化したのを、あたしは、見逃さなかった....。

そして、刑事さんが自宅まで送ってくれることになり、あたしの部屋までの約40分、刑事さんは、一言も口を聞いてくれなかった。


あたしも、まさかこの状況でバカンスの思い出話をするわけにもいかず、よく考えてみれば、人に話せるような思い出が何一つないことに気がついて、また一人しゅんとなった。


沈黙の40分ドライブはあっと言う間に終了し、気がつけば自宅の前。


返事は分かっていたけれど、とりあえず、刑事さんに声をかける。



「お茶、でもいかがですか?」



「結構です。まだ勤務中ですので。」



いつにもまして冷たい声。



「とりあえず、今夜は”彼女”には連絡する必要はないですから。万が一着信があったら、自分の携帯に電話ください。間違っても、一人の時に電話にはでないで。」


「わかり....ました....。」




そう言って刑事さんは帰って行った。




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