あなたのその声で…
「では、少しだけおじゃまします。」




あたしの顔ははたしてニヤケていなかっただろうか?


けれど、それはすぐに打ち砕かれることになる。




部屋の鍵を開け、刑事さんを室内へ通す。

刑事さんは自然と、前にこの部屋を訪れた時と同じ場所に座った。

あたしはなんだか、それがとってもうれしくて、つい、はしゃいで、しまったんだ。




「ごはん、食べました?あたし、さっきは、あまり食べることができなくて、お腹すいちゃったんで、なんか作りますね?」


浮かれたあたしは言う。







「結構です。しばらくここにいて”彼女”からの電話がないようでしたら、帰りますから。」



ひどく、冷たい声、だった。








「.....そう、ですよね?お仕事ですもんね?ごめんなさい、残業?させちゃって.....。あの、あたし、大丈夫ですから!もう大丈夫ですから。帰って良いですよ?呼んでおいて失礼な話で申し訳ないのですが.....。」




あたしは、この胸の熱さが、『恥ずかしい』なのか、『傷ついた』なのか、よく判断できないままに、刑事さんに一方的に話した。




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