あなたのその声で…
「あなたはいつもそうですね。」


ため息混じりに刑事さんがその”ハスキーボイス”を響かせる。



「え?」




「この間だって、今日だって、いつだってあなたは自分としか会話してない。まるでオレがここにいないかのように。オレの気持ちはいつだって空回りだ!」



最後のほうは、まるで泣き声のようだった.....。



「ごめん、なさい.....。」




つい、口を出てしまった言葉。



「何に対して謝っているの?オレのさっきの言葉に対して?だとしたら、言うべき言葉は”ごめん”じゃない。”どういう意味?”だ!それがオレ自信と会話するってことです!」


いつもの冷静な刑事さんではなかった。



「ごめ.....、どう、して?」




あたしは、すっかりついてしまった誤りクセをかみ殺し、再度聞いた。


「どうして?刑事さんの気持ちが空回り?どういう意味ですか?」




「気になって、仕方がないんです。あなたのことが。今までは、仕事にかこつけてきた。けど、もう無理です。今日だって、勤務時間外にこうして会ってる。」


「それは、あたしが急に呼んでしまったから....。」


そう言ったところで、あたしは刑事さんに抱きしめられた。

「そうじゃない。確かに今日、自分はあなたに呼ばれてここに来てる。けど、実は.....。彼女はすでに確保されているんです。」



「どういう、こと、ですか.....?」



あたしは、刑事さんの言っている意味が分からなくて、聞き返した。



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