あなたのその声で…
「ふうぅ~」

自然と出る長いため息。

「おい!今日みんなで行くぞ!」

上司の声に顔を向けると、すっかり定時を過ぎてしまったあたしをみんなが待っていてくれて、これから飲みに行くようだ。

「ふぁ~い。。」

あたしも急いで着替えを済ませ、みんなで会社を出た。



ウチの会社は、社員7名の小さな会社。主にメインは売買で、賃貸はあたし一人が担当している。

少人数だからか、社員同士の仲はいい。

こうして、時間が遅くなった時なんかは、大抵みんなで飲みに行く。

あたしたちは、会社のすぐ近くにある、行きつけの安い居酒屋で、ジョッキをぶつけていた。

「お疲れ~」

ゴクゴクと喉を鳴らしてビールを流し込む。

「だぁ~!生き返るっ!」

「お前、ココ最近、本っ当おやじ化進んでるぞ・・。」

哀れむような顔で、上司があたしを見ている。

「だってぇ~、毎日毎日会社と家の往復。彼氏もいない。休みだって、家のことに追われて友達ともなかなか遊べないし。そりゃオヤジ化しますって~」


あたしは上司の肩をバシバシ叩きながら嘆いた。


社内にいるときは上司と部下。けれど、定時が過ぎればただの同僚。それがウチの社風だ。仲が良いのは、そんなトコロにもあるのだろう。

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