屍病
祭りの夜に
その日私は、いじめを苦に自殺をしようとしていた。
テレビなんかでよく見る、遺書を用意して、それを靴の中に入れて。
学校の屋上で、海を見ながら飛び降りようと、柵を乗り越える。
「大丈夫……今より酷いことなんてないから」
ボソボソと独り言を呟きながら、アスファルトの地面を見下ろす。
遺書には、私をいじめている人達の名前を書いた。
後はこのまま死ねば、その人達は責められるはずだ。
こんなことでしか抵抗ができないのは悔しいけど、こんな生活はもう疲れた。
精神的な嫌がらせはもとより、時には階段から蹴落とされたり、私の物を壊されたり。
最初は抵抗もしていたけど、すればするほど深みにはまっていくようで。
いじめはどんどんエスカレートしていった。
いじめの理由なんて、大したものじゃなかったと思う。
ただ、好きなアイドルグループの好きなメンバーが一緒だからとかいう理由だった。
そんなちっぽけな理由から始まって、私は今、生と死の狭間にいる。
私が立っている場所が生の端で、一歩踏み出せば死の世界に行けるのだ。
「死んだら……何も考えなくて済むんだ」
そう、強く心の中で言ったものの……結局私は、死ぬことさえできなかった。
私は芹川愛莉。
まだ本当の地獄を、この時は知らなかった。
テレビなんかでよく見る、遺書を用意して、それを靴の中に入れて。
学校の屋上で、海を見ながら飛び降りようと、柵を乗り越える。
「大丈夫……今より酷いことなんてないから」
ボソボソと独り言を呟きながら、アスファルトの地面を見下ろす。
遺書には、私をいじめている人達の名前を書いた。
後はこのまま死ねば、その人達は責められるはずだ。
こんなことでしか抵抗ができないのは悔しいけど、こんな生活はもう疲れた。
精神的な嫌がらせはもとより、時には階段から蹴落とされたり、私の物を壊されたり。
最初は抵抗もしていたけど、すればするほど深みにはまっていくようで。
いじめはどんどんエスカレートしていった。
いじめの理由なんて、大したものじゃなかったと思う。
ただ、好きなアイドルグループの好きなメンバーが一緒だからとかいう理由だった。
そんなちっぽけな理由から始まって、私は今、生と死の狭間にいる。
私が立っている場所が生の端で、一歩踏み出せば死の世界に行けるのだ。
「死んだら……何も考えなくて済むんだ」
そう、強く心の中で言ったものの……結局私は、死ぬことさえできなかった。
私は芹川愛莉。
まだ本当の地獄を、この時は知らなかった。
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