屍病
「……あ、愛莉、大丈夫だった?」


「う、うん。真倫ちゃんこそ」


「私は大丈夫だよ。それよりも大きな地震だったね。震災クラスだよ」


だとしたら……町に大きな被害が出てるんじゃないの?


真倫ちゃんが起き上がり、私も身体を起こして町の方を見るけど……ここからではわからない。


いや、それよりも大きな変化があることに、私達は気付いてしまった。


「え? 空が……黒い?」


真倫ちゃんがそう呟いて、私も空を見上げると、さっきまでまだ明るかった空が、まるで真夜中にでもなったかと思うほどに黒くなっていたのだ。


「な、なにこれ……何が起こってるの? 今の地震が関係してるの?」


その答えなんて出るはずがない。


私も真倫ちゃんも、わからないからこそ戸惑っているのだから。


「何がどうなってるんだ。とりあえず家に帰ろうか。あんな大きな地震があったのに、屋台なんて楽しんでいられないよ」


「うん……そうだね」


私と真倫ちゃんは立ち上がり、家に帰ろうとしたその時だった。











「な、なんだ!? なんだよお前ら! こっち来んな! こいつは高下なんだぞ! わかってるのかよ!」











さっきの場所から、桐山らしき声が聞こえて来たのだ。
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